ニシへ東へ。


山と着物とビールをこよなく愛する四十路ライター・ニシの日記です。徒然なるままに日暮らし、パソコンに向かって仕事のこと、山のこと、あれこれ思ったことを書き散らしています。
by toshizo-Ni
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制覇とか征服とか

先日、まったりとテレビを見ていたときのこと。

ときどき見るドライブの番組で、そのときは谷川岳周辺が行動エリアで、芸能人の方々がガイドさんと一緒に谷川岳に登っていました。谷川岳はいい山だけど、初心者が登るにはちょっと厳しめの山。一生懸命、山頂近くではすごくつらそうに山を登っていて、でも山頂で大喜び。そうだよねえ、谷川は本当にいい山なんだよ、疲れたとか苦しいとか、景色や足元の花を見れば吹っ飛ぶんだよ…。

で、その番組のナレーションやテロップで、やたらと「谷川岳を制覇!」と出ていて、ちょっとやだなって思いました。…ああ、登った芸能人の人たちはひとこともそういうことを言ってなかったので好感だったのですがね。

登頂することを「制覇」「征服」と表現するのが大嫌いです。
制覇という言葉には、「俺の力で山をねじ伏せてやったぜ、すげぇ俺」みたいな臭いを感じます。ここまで強烈じゃないにしても、俺>山という感じ。

でもね、歩けるようないい条件のなか、歩きやすい路をたどって山頂に到達して、何が制覇なんだろう。たとえば暴風雨にさらされて死にそうな思いをしたり、思わぬ豪雪で身動きがとれなくなったり、道をはずれて深い森の中で自分がどこにいるのか分からなくなったり。ひとたび自然が牙を剥けば、人間なんて笑っちゃうくらい無力だ。そして制覇をしたと思っている人が辿った場所なんて山のごくごく一部。

私たちは、山のご機嫌をうかがいながら、山で遊ばせてもらっているちっぽけな存在。
だから、山が機嫌良く遊ばせてくれて、思わぬものを見せ、体験させてくれることに感謝する。

山で何度か痛い目を見ると、気持ちよく歩けることがただただ嬉しくなります。困難なルートを歩いて無事に登頂し、下山したときには自分を褒め、そしてステキな経験をさせてくれた山に感謝したくなります。本気で山に向き合えば向き合うほど、山を制覇なんて思わなくなるんじゃないかなぁ。それとも言葉を知らないだけなのかなぁ。

ちなみに、制覇という言葉の発する「すごいせ俺」と同じような臭いは、ひとりで歩くことをやたらと「ソロ」と言いたがる人や、コースタイムよりこんなに早く歩けたと誇示する人にも感じます。そういう人の言葉には、山を舞台に、自分に箔をつけたいという臭いがぷんぷんして、ちょっとやだなと思います。一般登山道をひとりで歩くのは気ままで楽しいと思うけど、別にすごく難しいとかエラいとか思わない。コースタイムより速く歩けることは、行動範囲が長くなっていいけれど、コースタイム程度で歩く人よりすごいとか思わない。気持ちよく歩いて良いものたくさん見て、自力で下山できれば、だれと歩こうが早くゴールしようが、同じじゃない?

最近いろいろと山に思うことがあり、ちょっと毒っぽくなりました。
ま、自分が思う形で山に向かい合えればいいだけの話なのですけど、ね。
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by toshizo-Ni | 2012-10-03 18:17 | 山や岩のこと。 | Comments(6)
Commented by ままみ at 2012-10-03 22:25 x
私も嫌いです。
山を歩くときに、どうしても木の根を踏まないと登れない時、
どうしても木につかまらないと登れない段差の時、
ごめんね!つかまらせてね。
ごめんね。通らせてねって言いながら歩く旦那様がいつもいいなぁって思います。
だから、頂上に着いた時も、旦那様はありがとう!って言いながら、手をパンパンって叩いてる。
神社じゃないのにね。
でも大切な事だと思います。
自然と天気に感謝して、空気をいっぱい感じて歩くこと。
早く歩いたらもったいない。
制覇とか征服とか早く歩けるなんて、関係ないと思う。
日にちがあったら、たっぷり時間をかけて歩きたいです。

今年の夏に、針の木で出会ったおじいさん。
住所を聞きたかったくらいお話が楽しかったです。
自慢でもすごいだろうでもなく、楽しそうに戦争が終わった翌年に登った剱とかの話をしてくれて、最後に楽しい時間をありがとうって言ってくれました。
寝袋もテントも無い昭和26年の話なんだけど、楽しそうに話すの。
鎖も何にも無いときの剱です。
これこそ、制覇したって感じなんだろうけど、そんな話方はこれっぽっちもなくて、いいなぁって思いました。
長々とまとまり無いコメントをごめんなさい。
Commented by juqcho at 2012-10-04 12:09 x
ニシさんの感覚に、共感します。

ときどき拝見するサイト「賀来家のファミリー登山」のトップページに「山は私たちの先生」という言葉があって、これも好き。この謙虚さがあれば、力が足りなかったら「また来ます」と素直に敗退できますよね。

そして、どんな山からでも、こちらが心を開けば教わることは一杯ありますよね。高尾山だって、立派な先生だと思います。
Commented by ニシ at 2012-10-04 13:11 x
>ままみさん
ごぶさたしています。
山、あちこちいらしているようで何よりです。

劔のおじいさんのお話、ステキですね。
思うに、本当にすごい人は自分がすごいことをあまり理解していなくて、だから誇示しないんですよね。淡々と話していて、聞いてると「あれ?」みたいな。
一方、山行記録でコースタイム●時間のところを▲時間で歩いたと書いてみたり、歩いて何人も人を抜かしたみたいなことを書いているのを見ると、ふーんすごいね、って思います。
Commented by ニシ at 2012-10-04 13:16 x
>juqchoさま
ありがとうございます。
高かろうが低かろうが、ゆるかろうが困難だろうが、
山はそこにあって、いろいろなものを与えてくれます。
要はそれを「受け取れるかどうか」なんだなって。
そういう意味で、山は偉大な先生ですよね。

で、力が及ばなければ素直に撤退…
最近、そっち系で「失敗」したので、胸が痛いです。
行きたい気持ちが邪魔して、
撤退のタイミングが遅れてしまったんですよ。

近いうちに報告会(という名の飲み会)したいです!
Commented by 常吉 at 2012-10-09 00:26 x
今時征服だの制覇だのってないよねぇ。ゴアテックスもクライミングシューズもフリーズドライの食料もネットの豊富な情報もない時ならいざ知らず…
あるとしたらすぐ逃げようとする軟弱な自分自身の征服か制覇かなぁ。

報告会、是非是非。
Commented by ニシ at 2012-10-09 00:54 x
>常吉さん
そうですね、闘ったり制したりする相手がいるとしたら
それは自分自身だと思います。
ふと思ったのですが、テレビで「制覇!」とか言うのって
本人達は言葉の意味に意識がないのかなって。
「登頂」とかと同じ感覚で言ってるだけなのかも。

報告会…そろそろ寒くなって日本酒もおいしい季節ですよね。夏・秋の山を肴に、是非〜!
最近のお仕事
2017.12.15
山と渓谷1月号
(山と溪谷社)

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「ゆる山歩き」
第2、3、4木曜日連載

夕刊フジ
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【著書】
「東京近郊ゆる登山」
「もっと行きたい!
 東京近郊ゆる登山」
「東京周辺お泊まりゆる登山」
「アルプスはじめました」
(以上 実業之日本社)
「女子のための!週末登山」
(大和書房)
「ゆる山歩き」(東京新聞)
「山歩きスタートブック」
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